精密水準器の気泡管の指示精度測定は、気泡管の基準線より外側の目盛線ごとに行います。
副気泡管のある方を左側として主気泡管の気泡を左側基準線に合わせ、水準器の表示感度ごとに(感度0.02mm/mなら、1mにつき0.02mmずつ)傾斜させ、気泡を各目盛線に移動(行き)させます。
目盛間隔(2mm)を10等分して測定出来る拡大鏡で、気泡の動きを見て誤差を測定します。最終目盛まで気泡が移動したら、水準器の表示感度ごとに傾斜を戻し、気泡を各目盛線に移動(戻り)させます。同様に測定します。
左側の測定が終わったら右側も左側と同様に測定を行います。
なお、気泡管指示精度の規格(許容値)は、水準器の等級によって異なります。等級ごとの規格値については水準器の種類と等級をご覧ください。
気泡が各目盛線の本来の位置より右側にある時を+プラス、左側にある時を-マイナスとします。
左右目盛線共に同様です。左基準線側と右基準線側で+プラスと-マイナスの位置関係に注意して下さい。
【左基準線側】+プラスが目盛線より内側
【右基準線側】-マイナスが目盛線より内側
①左側基準線 行き 目盛数:1 目盛誤差:0
1目盛分(感度0.02mm/mなら0.02mm/m)傾けた時に、気泡位置が1目盛ちょうど(本来の位置)にあります。
②左側基準線 行き 目盛数:2 目盛誤差:+0.1
2目盛分(感度0.02mm/mなら0.04mm/m)傾けた時に、気泡位置が2目盛(本来の位置)より0.1目盛右側(内側)にあります。
③左側基準線 行き 目盛数:3 目盛誤差:+0.2
3目盛分(感度0.02mm/mなら0.06mm/m)傾けた時に、気泡位置が3目盛(本来の位置)より0.2目盛右側(内側)にあります。
④左側基準線 行き 目盛数:4 目盛誤差:+0.3
4目盛分(感度0.02mm/mなら0.08mm/m)傾けた時に、気泡位置が4目盛(本来の位置)より0.3目盛右側(内側)にあります。
⑤左側基準線 戻り 目盛数:3 目盛誤差:+0.2
3目盛分(感度0.02mm/mなら0.06mm/m)戻した時に、気泡位置が3目盛(本来の位置)より0.2目盛右側(内側)にあります。
⑥左側基準線 戻り 目盛数:2 目盛誤差:+0.1
2目盛分(感度0.02mm/mなら0.04mm/m)戻した時に、気泡位置が2目盛(本来の位置)より0.1目盛右側(内側)にあります。
⑦左側基準線 戻り 目盛数:1 目盛誤差:0
1目盛分(感度0.02mm/mなら0.04mm/m)戻した時に、気泡位置が1目盛(本来の位置)ちょうどにあります。
⑧左側基準線 戻り 目盛数:0 目盛誤差:0
基準線(水平)まで戻した時に、気泡位置が基準線(本来の位置)ちょうどにあります。
左基準線側(2目盛、3目盛、4目盛)では、気泡が本来の位置よりも内側にあります。
目盛線より気泡が右側にあるので、+プラスとなります。
⑨右側基準線 行き 目盛数:1 目盛誤差:0
1目盛分(感度0.02mm/mなら0.02mm/m)傾けた時に、気泡位置が1目盛ちょうど(本来の位置)にあります。
⑩右側基準線 行き 目盛数:2 目盛誤差:0
2目盛分(感度0.02mm/mなら0.04mm/m)傾けた時に、気泡位置が2目盛ちょうど(本来の位置)にあります。
⑪右側基準線 行き 目盛数:3 目盛誤差:-0.2
3目盛分(感度0.02mm/mなら0.06mm/m)傾けた時に、気泡位置が3目盛(本来の位置)より0.2目盛左側(内側)にあります。
⑫右側基準線 行き 目盛数:4 目盛誤差:-0.2
4目盛分(感度0.02mm/mなら0.08mm/m)傾けた時に、気泡位置が4目盛(本来の位置)より0.2目盛左側(内側)にあります。
⑬右側基準線 戻り 目盛数:3 目盛誤差:-0.2
3目盛分(感度0.02mm/mなら0.06mm/m)戻した時に、気泡位置が3目盛(本来の位置)より0.2目盛左側(内側)にあります。
⑭右側基準線 戻り 目盛数:2 目盛誤差:0
2目盛分(感度0.02mm/mなら0.04mm/m)戻した時に、気泡位置が2目盛(本来の位置)ちょうどにあります。
⑮右側基準線 戻り 目盛数:1 目盛誤差:0
1目盛分(感度0.02mm/mなら0.02mm/m)戻した時に、気泡位置が1目盛(本来の位置)ちょうどにあります。
⑯右側基準線 戻り 目盛数:0 目盛誤差:0
基準線(水平)まで戻した時に、気泡位置が基準線(本来の位置)ちょうどにあります。
右基準線側(3目盛、4目盛)でも、気泡が本来の位置よりも内側にあります。
目盛線より気泡が左側にあるので、-マイナスとなります。
上記の測定値を表にすると下図のようになります。
4 | 3 | 2 | 1 | 0 | 目盛 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
+0.3 | +0.2 | +0.1 | 0 | 0 |
指示誤差 行き |
0 | 0 | 0 | -0.2 | -0.2 |
- | +0.2 | +0.1 | 0 | 0 |
指示誤差 戻り |
0 | 0 | 0 | -0.2 | - |
上記の測定値をグラフ(誤差曲線)にすると下図のようになります。
このグラフから指示誤差の最大値及び最小値を求めます。また隣接する目盛の指示誤差(隣接精度)を求めます。
※この場合は、行き戻りが同じ数値となっていますが、異なる数値となる場合もあります。